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2010年7月14日 (水)

【読書日記】誰も知らない小さな国

佐藤さとるの「誰も知らない小さな国」を最初に読んだのは小学生3年生の時だったと思う。

なぜ小人は人間に見つからないのか、ということが論理的に説明されているのが新鮮だった。

少彦名命(スクナヒコナノミコト)と、コロボックルの同一性を調べるところも面白かった。
民俗学的にどうなのかは分からないけど、納得できる説明だった。

子供の時に1度見たあと、大人になるまで再会しないという設定も新鮮だった。
同じ時に別の人間も後ろ姿を見ていたというシーンは感動的だった。

実は、アニメ化もされている。
ただし、原作の論理的な部分をばっさり削って、単にキャラクタを借りてきただけだった。
1回見てショックを受けて、それっきり見ていない。

後に読んだ、講談社現代新書「ファンタジーの世界」(佐藤さとる)では

ファンタジーは、日常から逸脱する部分を最小限にして、大部分は現実世界の論理と合わせないといけない。

とあった。
普通の人が小人を見たら驚くはずだ。だから主人公は驚かないといけない。そういうことらしい。

「誰も知らない小さな国」は、かなり人気があったようで、続編も発表された。

  • 誰も知らない小さな国(1959年)
  • 豆つぶほどの小さないぬ(1960年)
  • 星からおちた小さな人(1965年)

が、率直に言って1作目ほどのインパクトはなかった。
作者もこのへんでやめようということを書いていたと思う。

それでも、作者自身が納得できず書いたのが4作目「ふしぎな目をした男の子」だ(と、後書きに書いてあった記憶がある)。
ただし、登場人物は前作とのつながりが薄く、番外編のような形だった。
これでは納得できない。

このまま終わりかと思ったときに出たのが「小さな国のつづきの話」である。
手元に書籍がないのではっきりしないが、確か初版は1980年代だったと思う。
かなりの年月が経っている。
これが本当の最終巻になったが、文字通り「圧巻」だった。

ファンタジーは、日常から逸脱する部分を最小限にして、大部分は現実世界の論理と合わせないといけない。

という原則を、こんな形で適用する方法があったのかと驚いた。

図書館司書をしている主人公は、児童書「誰も知らない小さな国」に出てる小人を目撃し、驚く。

司書になるような人であれば読んでいて当然の本だから、設定自体は不自然ではない。
しかし、主人公はシリーズの一部に含まれている。
一種の自己言及である。

「作り話だと思っていたら、本当にいた」と驚く姿は、1作目と同じテイストを感じ、わくわくしながら読むことができた。

さて、一連の著作は長らく版元品切れだったが、今回復刊ドットコムから「佐藤さとるファンタジー全集」として復刊が決まった。

講談社現代新書として刊行されていた「ファンタジーの世界」も収録されている。この評論も面白いので、復刻は非常に喜ばしい。

硬派なファンタジー小説が好きな人にお勧めである。

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