宮崎奈穂子さんの新企画「歌・こよみ365」
宮崎奈穂子さんの新企画「歌・こよみ365」は、1年間で365曲を提供するという試み。
すべてがCD化されるわけではないということですが、それにしてもすごい。
第1弾は、レスリングの吉田沙保里さんに捧げた歌「Passion Mission Action~SAORIのように~」
「Passion Mission Action~SAORIのように~」はシングルCDになっていますが、カップリングされているのが、この企画「歌・こよみ365」のテーマ曲と言える「夢に歌えば」です。
武道館単独コンサート前、朝日新聞夕刊一面に載ったときの見出しが、この言葉でした。
歌詞を聞くと、彼女の別の曲「路上から武道館へ」が下敷きになっていることが分かります。
今まで5年間の歌手生活を振り返る、とても良い曲です。
ただ、「路上から武道館へ」の、具体的なエピソードを含めたストレートな歌詞は胸を打つのですが、宮崎奈穂子しか歌えない曲になってしまってます。
実際、テーマがストレートに見えすぎるという批判もあったそうです。たとえばユーミンの「ひこうき雲」は、飛び降り自殺した人がモチーフになっていますが、死を正面から取り上げると重くなりすぎてしまいます。
2番の歌詞には「死」という言葉が出てきますが、なんとなく聞き逃してしまう。
それくらい隠してしまった方が、逆に心に残るように思います。
その点、「夢に歌えば」は、エピソードが抽象化されていて、作品の完成度が高い。
たとえば「見知らぬ誰かが私を見つけて、いい歌だと言った」という下りがあります。
これは、明らかに「路上から武道館へ」のエピソードで、初めて路上ライブをやったとき、誰ひとり立ち止まらず、まるでそこにいないかのような扱いを受けた後、どこで聞いていたのかある人が現われて「いい歌だね」と言うシーンです。
私、その後に続く「嬉しくて、泣いた」の部分、特に「嬉しくて」と「泣いた」の間がとても好きで、そこだけ聞いていたいくらいなんですが、やっぱりちょっと「重い」。
そういうわけで、「路上から武道館へ」は、「夢に歌えば」よりもずっと感動的で、良い曲なんですが、完成度は「夢に歌えば」の方が高いと思っています。
そして、「夢に歌えば」が大ヒットしたら、「この話はね、初めて路上ライブしたときに...」と、したり顔で教えて上げるのが私のささやかな夢です。
さらに、もうちょっと大きな夢は、「この話はね」と言いかけところを遮られて、「あ、知ってる『路上から武道館へ』でしょ」と言われることです。
【参考】Amazon.co.jpで購入できます(カップリングは「夢に歌えば」)
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