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2014年6月 1日 (日)

写真講座(第6回)~対象を決める~

適正露出は、明るさに応じたシャッター速度と絞りで決まる。前回はシャッター速度について解説したので、今回は絞りについて解説する。

絞りは、一定時間内に取り込める光の量を決める。ちょうど水道の栓のようなものである。栓を大きく開く(絞りを開く)と短時間で多くの光量が得られる。栓を閉じる(絞りを絞る)と、同じ光量を実現するには多くの時間が必要になる。

絞りの調整は「絞る」と「開く」という言葉を使う。「閉じる」と「開く」と表現することもある。

絞り値は大きい方が暗く、小さい方が明るい。一般的なレンズは、光量を制限しない絞り値(開放絞り)と、目一杯光量を絞った値が決まっている。


▲左:開放、中:少し絞った状態、右:目一杯絞った状態

絞りを表す数値はFで示すので「F値」と呼ぶこともある。

一般に絞り値2.8(F2.8)以下を「明るいレンズ」と呼ぶ。焦点距離の長いレンズは明るくすることが技術的に難しいため、たとえば300mm  F2.8のレンズは高価なレンズの代表である。

ちなみに英語では「High speed lens」と呼ぶらしい。何がハイスピードかというと、明るいレンズ(絞り値が小さい)は高速なシャッター速度が使えるかららしい。変なネーミングである。

35mmから50mmくらいのレンズは明るくしやすいようで、F1.8やF1.4というレンズが比較的安く販売されている。

ズームレンズは明るくするのは難しく、24-70mm F2.8という標準域をカバーするズームレンズは、各社とも高価である。

「入門用」とされる安価な標準ズームはF3.5-5.6のものが多い。安価なズームレンズは焦点距離によって絞りが変化するため、少々使いにくい。

●絞りを開く

絞りを開くと、ピントの合う範囲が狭くなり、前景や背景をぼかせる。前景と背景を入れることで、写真に奥行きが出るが、ピントの合う範囲を狭くすることで主題だけを強調できる。

とりあえず、絞り優先にセットして、絞り開放で撮ればなんとなくきれいな写真が撮れる。覚えておいて損はない技術だ。

ポートレートなどでは、顔だけにピントを合わせ、背景をぼかすと美しさ倍増である。望遠レンズの方がピントの合う範囲が狭いため、暗いレンズを使う場合は望遠レンズにするのもひとつの方法である。

セオリー的には、人物撮影は以下の順に考える。

  1. 目にピント
  2. 左右の目で距離が違うときは手前の目にピント
  3. まつげと瞳でピントがずれる場合はまつげの根元にピント

少し絞ると、背景の光が○ではなく多角形になる。これは絞りの形が写るためである。「円形絞り」と書かれたレンズは、絞りが曲線で構成されており、円に近い形になる。

●絞りを絞る

絞りを絞ると、ピントの合う範囲が広くなり、全体を写せる。風景のように広い範囲を撮影するときに利用する。

極端に絞ると(たとえばF22)、背景の光が多角形ではなく、線を描く(光条)ようになる。光条は絞りの角の数だけ発生する。上の図では8枚絞りなので、角が8個でき、8本の光条が出る。円形絞りを採用したレンズでも、大きく絞ったときは角が出るため、光条は避けられない。

加工上の問題で、レンズ周辺の画質は悪いことが多い。絞ることで、レンズの周辺を使わないようになり、画質が向上する。ただし、あんまり絞りすぎると回折の影響で画質が落ちる。一般に、レンズの最高性能が出るのは開放から2段くらい絞ったF5.6からF8くらいだとされている。

もっとも、そんなことより構図やピントの方が大事なので、一般的にはあまり考えなくて良い。

絞りを変えた写真のサンプルを上げる。いずれも35mm開放F値1.8のレンズだ。同じ絞り値でも、焦点距離が大きくなるとピントの合う範囲は狭くなる。

DSC02750M
▲F2.0
DSC02751M
▲F5.6
DSC02752M
▲F11
DSC02753M

▲F22

DSC02731MDSC02735M
▲F2.0(左)とF5.6(左)

●絞り優先かシャッター速度優先か

一般に、スポーツ写真ではシャッター速度優先が、その他は絞り優先が適していると言われる。

ただし、シャッター速度優先は適正露出の範囲が狭いので、私はあまり使わない。絞りを変えながらファインダー内に表示されるシャッター速度を読み取っている。

写真講座(第4回)~写真の明るさ~」の表を見て欲しい。

たとえば開放絞りF2.8、最小絞りF22のレンズがあったとする。シャッター速度1/125秒だと7段の露出に対応できる。最小絞りはどのレンズでもたいてい22か32である。32としても8段階だ。

一方、絞り5.6だとシャッター速度1秒から1/2000秒まで12段階の選択ができる。上級者向け機種だと1/8000秒のシャッターが切れるから14段階になる。

もちろん1秒で手持ち撮影だとぶれてしまうリスクが大きいが、最近の手ぶれ補正機能を使い、カメラを壁などで固定することで35mmレンズくらいなら十分実用になる。

もっとも、実際にはたとえば1/125ちょうどでなければならないケースは少ないし、絞りも5.6じゃなきゃ駄目、というケースが多くない。

原理的には絞り優先の方がカバーできる明るさの幅が大きいのだが、実用的にはあまり変わらないのではないだろうか。

ちなみに私は基本的に絞り優先、たまにマニュアル露出だ。

●【おまけ】自動露出の歴史

コンパクトカメラでは、1960年代に露出が自動化された。一眼レフではレンズを交換するため、レンズに組み込まれた絞り値を自動制御するのが難しかったためである。

レンズ交換可能なカメラで自動露出が採用されたのは1970年代だった。

シャッター速度優先の場合は、カメラ本体から出たツメでレンズの絞りを機械的に設定していた。シャッター速度は撮影者がカメラ本体で設定する。現在も残っている大手メーカーではキヤノンがこの方式である。

絞り優先の場合は、レンズで設定した絞り値に連動する機械的な動作を使ってカメラ本体に伝え、シャッター速度を自動制御していた。ニコンやミノルタ(現在のソニー)など、多くのメーカーが採用したのはこちらである。

シャッター速度優先は、スポーツ写真に便利なのでキヤノンがスポーツ写真用に普及したという説もある。

その後、1977年にミノルタがシャッター速度と絞り、どちらを設定しても自動露出可能なカメラを作り、ニコンが追従する。少し遅れてキヤノンも追従する。

ちなみに、レンズ交換可能な一眼レフでないカメラもある。現在は事実上ライカのみが作っている。ライカが自動露出を採用したのは2002年のM7(フィルムカメラ)で、フィルムカメラの寿命が終わっている時期にやっと出た。

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