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2007年8月

2007年8月30日 (木)

『ボナンザvs勝負脳』

15冊目

2006年、突然登場した将棋ソフト『ボナンザ』が、日本大会で初登場初優勝。
その作者と、ボナンザと公式対戦したプロ棋士の共著。

「知能は、それ自体をプログラムするものではなく、結果として発生する」ということは、以前から言われていたのですが、それを裏付ける内容。

飛行機は鳥の研究からスタートしたが、鳥とは違う原理で飛ぶ。
チェスのプログラムはチェスのチャンピオンと同じ思考システムではない。

従来の将棋ソフトは、人間の思考を真似ているのに人間に似ていない。
ボナンザは人間の思考とまったく違う原理で動作しているのに「人間的」と言われる。

もし、人工知能やゲーム理論に興味があるならおすすめ。
ただし、ちょっと難しい部分も少しある。α-β刈りとか、mini-max戦略とか、言葉くらいは知っておいた方が理解しやすい(意味は知らなくても大丈夫)。

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『日本人はなんのために働いてきたのか』

14冊目。

ちょっと風呂敷を広げすぎで、前半は散漫な感じになってます。
後半からぐっと面白くなるので我慢して呼んでください。
大仏建立のあたりは感動的でした。

仕事というのは、本来楽しいものなんですよね。

もっとも、その後すぐに連想したのは『家畜人ヤプー』でしたけど。

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2007年8月19日 (日)

お芝居『妻をめとらば』

お芝居「妻をめとらば」を見てきました。

藤山直美(与謝野晶子)と香川照之(与謝野鉄幹)の掛け合いがほんとに面白かったのですが、田川陽介(北原白秋)、岡本健一(石川啄木)もいい感じでした。
あと、山本未来(平塚雷鳥)のいかにもインテリっぽいところも良かった。

娯楽劇なので、それほど重いテーマはないんですが、それぞれの「夫婦の形」が出ていました。

ところで、本筋とは別に面白かったのは与謝野晶子と平塚雷鳥の掛け合い。
「青鞜」の創刊号に「山の動く日来たる」という詩を寄稿しているものの、実は2人は「女性解放」に関しての路線で対立しており、山田わか、山川菊江の他、男性も交えての一大論争となったのでした。

お芝居では、2人の対立とともに、相手を(渋々ながら)認めているところがうまく出ていたと思います。

ところで、原作(マキノノゾミ)には大杉栄も登場していたそうです。
そうすると、当然、伊藤野枝も出てくるはずで、そうなるともっとややこしい夫婦関係が登場したはず。
ちょっと残念な気もしますが、娯楽劇としてはややこしすぎるるかもしれません。

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2007年8月15日 (水)

『メディア・バイアス - あやしい健康情報とニセ科学』(続き)

念のため断っておきますが「有機野菜が身体に悪い」というわけではありません。
「身体に良いと言う証拠がない」と書いてあるだけです。

最近、アレルギー疾患が増える理由として有望な仮説は「衛生的になりすぎて免疫力が低下した」ことだそうです。
だからといって、不潔にすると別の病気リスクが増えるので困ったことですが。

とにかく「XXは身体にいい/悪い」という単純な説は全部間違いと思った方がいいようです。
いい面もあれば悪い面もある、ということで。

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『メディア・バイアス - あやしい健康情報とニセ科学』光文社新書

13冊目『メディア・バイアス - あやしい健康情報とニセ科学』光文社新書

著者は農学部のマスターで、元毎日新聞記者。
さまざまな俗説を打ち砕く衝撃の本。
マイナスイオンが、意味のないでたらめな理論だということは誰でも分かるわけですが、食品に関してこんなに問題があったとは。

「トンデモ本」と違って、査読付き論文をベースにしているので、信憑性はかなり高い。
「買ってはいけない」レベルの本と一緒にしないように。


●食物繊維が大腸ガン予防に有効
オリジナルの研究レポートの見出しは「食物繊維と大腸ガンの相関関係はなし」だったのに、「例外的に、普段から極端に食物繊維摂取量の少ない女性には有効」という部分だけが大きく報道された。

●無農薬野菜はアレルゲンとなる物質を含む可能性が高い
数十年前と違い、現在の農薬はかなり厳しい審査があり、残留分はほとんどない。
一方で、農作物は病気になると自己免疫機能により、農薬に似た物質を自己生成し、こちらは残留する。
これがアレルゲンになる。

また「有機野菜が身体にいい」という実験データは世界中のどこにもなく、それはライフスタイルの問題である。
英国の食品基準庁も「有機野菜が身体にいいとか、栄養価が高いという証拠はない」としている。

●遺伝子組み換え大豆の危険性は誰も立証していない
日本で公演したロシアの科学者は「ラットの半数が死んだ」という実験データを出したが、死んだラットには非加熱大豆タンパク、死んでいないラットには加熱大豆タンパクを与えていた。
非加熱大豆タンパクはそれ自体が毒性を持つ。
日本では3世代、米国では4世代のラットの実験が行われているが、有害という結論は(まだ)出ていない。

等々...
俗説のほとんどは実験条件があいまいだったり、不正確だったり、特定のスポンサーが付いている。
俗説を否定する実験はすべて査読付き論文。
どちらが信憑性が高いかは、ちょっと科学をかじった人ならすぐ分かる。
査読付き論文が正しいという保証はないが、より確からしいことは言える。

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