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2007年11月23日 (金)

書籍『人は見た目が9割』

24冊目『人は見た目が9割』竹内一郎著

ベストセラーだが、内容は空虚。
もっともらしい引用もあるが、その解釈は思い込みが多い。
今年読んだ本のワースト2。
(ワースト1は、最初に読んだ「プロフェッショナル原論」)

まず、冒頭のマレービアン(メラビアン)博士の有名な法則の引用ミス。

人が他人から受け取る情報の割合は、表情が55%、声の調子が38%、言葉が7%だというが、それは「見かけと言語が矛盾する内容を含んでいる場合」。
つまり、よそ見しながら「愛しているよ」と言っても信用できないという話(その場合、言葉ではなく態度を信じるのは当然)。
感情や態度について語っていないときは成り立たないと、マレービアン博士自身が述べている。
(二重否定で分かりにくいんですが原文の表現のまま)

虹の色は英語圏では「藍がなくて6色」もちょっと怪しい。
藍はindigo。ちなみに紫は実はすみれ色(violet)。
虹を7色と定義したのはニュートンで、一般的には6色(indogoがない)という意見も確かにある。
(英語版wikipediaのrainbowには "The place of indigo" という項目がある)

しかし、そもそもニュートンは最初、ダイダイ色も含めない5色と定義していたので「6色」と断定するのはどうか。

また、どちらが原因でどちらが結果か判断できないのに、勝手に決め付知える例も散見される。
たとえば「祭りや暴動のシーンは夏が似合う」
元々夏に祭りが多いだけではないのか。

米国で「暑い日は暴動が多い」とのデータを引用しているが「30℃を超えると減るがそれは30℃を超える日が少ないからだろう」と勝手に解釈。
米国南部には夏は常時30℃を超える地域が多いことを知らないのか?

その他「赤い公衆電話が消えた理由」など、取材すればすぐ分かるだろうに、勝手に「注意を引きすぎるから」と決めつけている。

データを引用しているので、一見正しく見えるが、推論に根拠がない。

文章の構造も悪い(これは編集の責任)。
「以上の7つが...」とあるが、どの7つか分からない。
見出しを遡っていくと確かに7つあったが、番号も振っていないし、どこから7つのリストが始まるかも明記されてない。

全体としてまったくおすすめできない。

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