『フードファディズム―メディアに惑わされない食生活』
フードファディズム―メディアに惑わされない食生活
高橋久仁子
23冊目。
食にまつわるさまざまな迷信や脅しに関する本。
水と塩、そしてある種の飲料を除くと、ほとんどの食べ物は生物または生物の生産物である。
自分たちや、自分たちの次の世代のための生産物を横取りしておいて「善玉」「悪玉」と分類するのは失礼だ、というのはまさにその通り。
いくつか面白かった話を列挙します。
「健康番組をたくさん見ている人ほど肥満率が高い」
本書でも指摘されているとおり、単にテレビ好きが肥満になりやすいということらしい。
「日本人の魚離れ」はウソ
米離れは統計にも出ているが、その分は肉消費量が増えていて、魚消費量は現在でも微増しているとか。
「有害だから摂取しない方が良い」とは言えない
塩は体重1kgあたり0.5~5gが致死量。体重60kgなら30g~300gで死ぬ。
でも食塩を一切取らないと生きていけない。
「野菜を濃縮した錠剤に含まれる野菜の量」
1回5錠飲めと書いた健康食品。
調べたら5錠で野菜20g相当だったとか。
ミニサラダが70gくらいだから、20gって一口分くらいですか。
ところで、全体に面白いのに、最後の方に出てくるジェンダー論は余計。
男女を問わず、調理能力を身につけることで食生活が改善できるという主張には100%賛同できるけど、全体の流れの中で浮いている。
阿部司氏が、手間をかけた料理の価値を強調するために、事実と違ったり、誤解を誘導する表現をしているのと同じように見えてしまう。
本書には、あからさまな誤謬はないと思うけど、イデオロギーの押しつけはかえって疑惑を抱かせてしまう。
いい本だけにちょっと残念。
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