アルバムの作り方(宮崎奈穂子さんの路上ライブを例に)
シンガーソングライターの伊吹唯さんが、ブログ記事「1月17日 ニライカナイとリハーサル」で、こんなこと書いています。
今回のアルバムは「命」「心」などの人間としての根源的な形の無い部分から「目の前の今」「現実」という具体性のある形ある場所へと(言い換えれば「遠く」から「近く」へと)、順を追って進んで行く旅のようなアルバムになっているので、ぜひ(一度だけでも)シャッフルではなく聞いて頂きたいなぁと思います。
写真集(それこそアルバム)を作った経験から言うと、順番というのはとても神経を使う作業です。
1枚1枚が独立した作品として成立するように心がけているので、ばらばらに見てもらっても構いません。買うかどうか迷っているときに、ぱらぱら見るのは当然です。気に入った写真があれば何度も見てもらえれば嬉しいと思います。
でも、もし買ってもらえたら、1回だけでも最初から通して見て欲しいと思います。
どういうことを考えてアルバムを構成しているか、ちょっと紹介してみましょう。
題材は、宮崎奈穂子さんが路上ライブの取材を受けているところです。
最初は、全体が分かるように、引いた(広い範囲の)写真を置きます。
カメラを写すことで、取材だと分かるようにします。
少し寄ります。顔が分かるくらい。
でも、まだ何者かは分かりません。
ちょっと角度を変えて、看板を入れてみます。
「日本武道館単独公演」の文字で、プロの歌手だということが分かります。
最後は肉声で「ありがとうございました」。
定番の終了挨拶なので、ここは最後に押さえたいところ。
ストーリーは頭にあったのですが、思ったカットが1回で撮れたわけではありません。
3サイクルくらい撮って、継ぎ合わせています。
でないと、お辞儀前とお辞儀中で違うアングルから並べられません。
プロの写真家の人に聞いても、撮影→構成→足りないカットを足す、というパターンが多いそうです。
あるいは、手持ちの写真を並べ替えながら構成を考えることもあるとか。
いずれにしても、並び順は真剣に考えています。
最初からシャッフルしたら駄目ということはもちろんありません。
どんな見方をするのも、それは自由だと思います。
でも、制作者の意志に触れるのもいいと思うんですよね。
そういうわけで、どんなアルバムでも、1回は最初から聞いて(見て)みてください。
ところで、写真の並び順は、原則として「広いところから狭いところ」「古いものから新しいもの」です。
それだけだと単調になるので、原則の崩し方が腕の見せ所ですが。
アイドル写真集なんかだと、「着衣から脱衣」が基本だそうで、「徐々に脱いでいるのに、突然服を着込むのは絶対駄目」と書いてあって笑いました。
シーンが変わればいいんでしょうけどね。
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