写真講座(第5回)~時間の表現~
写真は静止しているので、現実世界を投影するには時間を止める必要がある。
時間の表現をコントロールするのが「シャッター速度」である。
シャッター速度が遅いと、光の当たっている時間が長くなる(明るくなりすぎないように、シャッター速度を遅くしたら、絞りの値を小さくすること)。
動いているものを撮影する場合、シャッター速度が遅いと(光の当たっている時間が長いと)、撮影開始から終了までに時間がかかるため、動いている状態が記録されてしまう。これが「ぶれ」である。
逆に、シャッター速度が速いと(光の当たっている時間が短いと)、一瞬で撮影が終わるため、瞬間をとらえることができる。
どちらも動きを表現するために使うが、連続した動作(走ったり大きくジャンプしたり)はぶらした方が効果的で、一瞬の動作(飛んだり蹴ったり)は静止させた方が効果的と言われる。ただし、実際に何が効果的かは一概に言えない。
●ぶれ
被写体が動く速度にもよるが、シャッター速度が30分の1から15分の1以下だと、被写体の動きが軌跡となって記録される。これが「被写体ぶれ」である。被写体ぶれは連続的な動作をうまく表現できる。
この時のコツは、静止している部分を作ることである。全体が動いているとぼんやりしてしまう。
▲ジャンプしている猫はぶれているが、その他は静止している
瞬間的な動作だが、静止部分と対比させることで効果を出している。
シャッター速度が遅いと、カメラ自身が揺れることで起きる「手ぶれ」も起きやすい。手ぶれは映像全体がぼけたようになるため、一般にはあまり好まれない。
手ぶれは狭い範囲を大きく写すときに強調されるため、望遠レンズで起きやすい。おおむね「レンズの焦点距離分の1秒」が手ぶれしない目安と言われる。50mmのレンズなら1/50秒である(多くのカメラは1/50秒の設定はできず1/60秒となる)。手ぶれ補正機能を使えば、さらに3段くらい遅くても大丈夫である(1/60秒に対して、1/8秒程度)。
手持ち撮影でのスローシャッターは難しかったが、手ぶれ補正機能のおかげで安心して撮れるようになった。
カメラを壁や床に置いたり押しつけたりするともっと安定する。人間が寄りかかるだけでも大きく違う。寄りかかれるところはどこでも寄りかかろう。
▲路上ライブをする宮崎奈穂子さん
左足が静止しているので、右足の動きが強調される
●静止
被写体が動く速度にもよるが、だいたい1/250秒くらいのシャッター速度で撮影すれば静止して見える。
高速なシャッター速度を使うには、絞り値を小さくする必要がある。しかし、レンズによって最も明るい数値は決まっている。そこで、撮影感度(ISO)を上げるのだが、そうすると画像が粗くなる。
カメラによって、高感度ノイズには差があるので、許容できる感度をあらかじめ調べておいた方がいいだろう。
▲女優を中心に活動する畔地留似さん
高く飛んでいるように見せるには足を曲げてもらうことである。
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