「昭和のスターとアイドル展」と「ポラリス」
日本橋三越で5月9日(月)まで開催中の「昭和のスターとアイドル展」に行ってきました。
エレベーターでは、エレベータガール(これって、死語または差別語?)のOJTが行われていました。
Twitterで知って、急に行ったんですが、三越または伊勢丹カード提示で無料でした。太っ腹ですね。
戦後、洋楽に日本語歌詞を付けたカバーからスタートし、グループサウンズ、フォークソング、アイドルと流れる昭和歌謡を振り返る展示でした。
歌謡史的には、フォークソングは3つの世代に分かれるんじゃないかと思います。
最初が、グループサウンズの特に意味のない歌詞を批判して、社会問題を扱った「プロテストソング」としてのフォークソング。
次に登場したのが「もっと地に足の着いたことを語ろう」という四畳半フォーク(この言葉はあまりいい意味では使われないんですが)。
そして、自己主張ばかり強くて音楽的に単純な(ものもある)四畳半フォークから、洗練された楽曲の「ニューミュージック」に続くのですが、その辺は区別してませんでした。
もっとも、このあたりは展示もそれほど力が入っていないようでした。
面白かったのはこのあと。たとえば、入ってすぐのところには、テレビドラマ「時間ですよ」の銭湯入口が再現されていました。当時の番組では、必ず女湯のシーンが入ってました。今では考えられません(エキストラはヌードモデルみたいです)。
「時間ですよ」のエンディングでは、浅田美代子が物干しで歌っていたのは覚えていますが、その前は天地真理が出ていたそうです。
キャンディーズやピンクレディももちろん大きく扱われていました。特にキャンディーズは「ファイナルカーニバル」のビデオが流れてました。
でも、特に面白かったのは、オーディション番組「スター誕生」から「ザ・ベストテン」あたりの年代です。ちょうど私が小学生から大学生の頃ですね。
「スター誕生」コーナーには、歴代優勝者のデビューシングルのジャケットが展示されてました。森昌子「せんせい」、桜田淳子「天使も夢見る」、山口百恵「としごろ」はもちろん、清水由貴子「お元気ですか」があったのは嬉しい気分になりました。ただし、高校の後輩の吹田明日香の写真はありませんでした。
清水由貴子、そういえば亡くなったのは春だと思って調べたら2009年4月20日でした。歌手活動を再開するという話もあったらしいので、大変残念です。
▲「歌を重ねて」の頃の清水由貴子(ラジオたんぱ(当時)東京本社スタジオ)
その代わり、でもないんですが、香坂みゆき(「スター誕生」組ではありません)の「愛の芽生え」ジャケットがありました。このリリースイベントを見に、京都高島屋の屋上まで見に行ったことを覚えています。
あと、デビュー当時のアグネスチャンもありました。今では想像できないかもしれないけど、本当にかわいかったんですよ。
新しいところでは、小林幸子が「ニコニコ動画」に進出したことなんかも触れていました。売り方としては地下アイドルに近いですね。もちろん、実力は圧倒的な差がありますけど。最初「ニコニコ動画」に上げたとき、「(素人の活動の場で本気を出して)大人げない」と言われたくらいです。
ちょっと浮いてたのが、入口付近と出口付近にあった蓄音機の展示。時代が全然違います。エジソンの円筒型レコードを見られたのは良かったんですが。
会場を出たところでは、マルベル堂のプロマイド売ってました。私、写真の印画紙に臭化銀を使っているから「ブロマイド(臭化物)」だと思ってたんですが、ブロマイドは印画紙の呼称、商品名がプロマイドだそうです。ややこしい。
全体に面白かったんですが、世代が違うので、美空ひばりのアイドル性はよく分からないし(晩年は知ってるのでスター性は分かる)、水の江瀧子や弘田三枝子なんかも分からないですね。
大衆芸能は、時代とともにあるので、それは仕方ないことでしょう。
ピアニストで作曲家のフランツ・リストは、アイドル的な人気があり、コンサートグッズまで売っていたそうですが、現在まで伝わっているのは難しい曲と演奏の素晴らしさであって、ファンの数とかコンサート会場の広さなんかはあまり知られていません(調べれば分かるのでしょうか)。
アイドルユニット「まなみのりさ」の曲「ポラリス」にはこんなフレーズがあります。
君と同じこの時代に、生まれたこと感謝してる
本当にそうだと思います。
それでも、こういう展示で、当時の状況に少しでも触れることができたのはよかったと思います。
ところで、まなみのりさの「ポラリス」は芸能界で生きるアイドルを歌った曲ですが、歌い出しはこうです。
与えるふりして、奪っていくよ、この世界は
恐ろしい世界ですね。
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